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INTRODUCTION

ブラック企業に勤め、自殺願望を抱く主人公・紬 圭一郎。

彼は首をくくるための縄を結ぶ気力すらなく、

ひたすらに無力な日々を送っていた。

7月のとある土曜日、深夜2時。

通勤路の歩道橋から身を乗り出す紬は、

奇妙な男からとある提案を受ける。

「この高さじゃ死なないかもよ」
「……」
「死ぬ前にさ、やり残したこと全部やらない?」

「……」

「全部やって、幸せになろうよ」
「……その後は」
「俺が殺してあげる。確実に」

サービス残業と20連勤で疲弊した頭のまま、

紬は勢いあまって承諾してしまう。

幸せな人間を殺してこその殺人鬼。

死に方も忘れた自殺志願者。

いびつなふたりの、ゆがんだ夏の話。

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